こんにちは、中野です。
なんだか大仰なタイトルをつけていますが…いろんな要因が重なりそんなことをこの週末に考えていました。
その一つが、就職活動における広報解禁、つまり会社説明会の解禁から3週間が経ったこともあります。
現在、いろいろなところで学生の就職活動の相談を受けているのですが、思えばぼくが就職活動をしていた時期からついに10年前(いつの間にか!)になってしまいました。
10年前からなにか変わったかというと、そういえばあんまり芯の部分というか、考え方の部分というのは変わっていないな、と思うわけで。
今回はそんなお話です。
たとえば、今読んでいる本。
つい先日発売された、宇野常寛「若い読者のためのサブカルチャー論講義録」というものを現在読んでいます。
この本は、著者である宇野常寛氏の京都精華大学での講義をまとめたものです。
表題にもあるサブカルチャー論というのは、彼の評論家としての一環したテーマであり、またそれを読んでいるぼく自身もずっと彼を追っていたものです。
2009年に発売された「ゼロ年代の想像力」という文芸批評界隈では話題になった書籍から、わりとさまざまな本を読んできたつもりです。
人文科学は就活の役に立つのか?
さて、大学時代のぼくの専攻というのは、歴史学でした。文学部生です。
詳しく書くと、近代アイルランドの大飢饉について研究していました。
果たして、それが現在の仕事の役立っているかというと、もちろん、直接役立っているとは言えません。
飢饉の原理や当時のイングランド社会福祉について知っていたとして、今の仕事には1mmも関係ありません。
とはいえ、この研究や学問を専攻しておいてやってよかったなぁというのは人生の随所において思い出されます。
ここで書くにはちょっとしのびないところもあるので、割愛させていただきますが、たとえば現代の人類が抱えている諸問題に対する歴史学的検討ができたり。
歴史を学ぶということは、歴史学的方法論を学ぶことなのです。
あと、わりと文章を書くのは苦手ではありません。これはよかった。
しかしどちらかというと学生の頃に小説を乱読したおかげなのですが…
学問といえば、現在では文系不要論や実学重視などなんとなく、人文科学がなおざりにされる風潮があります。
そして、就活生の中にはぼくと同じように人文科学系の学問を専攻していて、
いざ就活の時になんでこんな学問を専攻してしまったんだ!と考えている学生もいるかもしれません。
就活について言えるのは、直接的になにかの役にたつ、と言える学問、たとえば経済や法学、工学などを専攻している方はストレートにそのことについて語ることができるのですが、人文科学系を専攻している学生には、その研究のプロセスや思考法について考え、述べることが良いかもしれません。
ちなみに、こんな記事もあったので、人文科学専攻の学生はぜひご参考に。
DeNA執行役員に聞く 人文学はビジネスにとって不要なのか 小林賢治さん前編
http://www.todaishimbun.org/dena_kobayashi160516/
東大新聞オンライン
ただ、人生という観点から見ると、自分の進んできた道は悪くはないな、と思います。
大学時代の学びが、まさかこんなタイミングで!という場面で活かされたことが案外あるものです。
点と点が線になる瞬間の楽しさを大事にしたい
たとえば、ゼミで輪読したリチャード・J・エヴァンス教授の『歴史学の擁護』。
うんうん唸りながら必死に原著を和訳したことを思い出しましたが、
この著者、最近日本で公開された『否定と肯定』という映画にも出ており、まさかあの時の学びが10年後に活きるとは!という感覚でした。
こういった、点と点が線になる感覚、大事にしたいなあというのが、自分の中にあるのです。
大学での学びをどう人生に活かすか。
ともすると仕事に関連づける人々が多いかもしれません。
これから就活本番を控える学生にとっては、もしかするとそんな考えだけに陥ってしまいがちかもしれません。
また、こんなことを言われるかもしれないでしょう。
「そんな勉強してなんになるの?なんの意味があるの?」と。
しかし、もっと大きく!
人生を豊かにするために、という視点にたってみれば、どんなこともつながっているのだと、ぼくは思います。
胸を張って、今までの学びを大事にしてください。どんなタイミングで、人生を豊かにしてくれるかわからないのですから。
そして、どんなことも役に立つか立たないか、意味があるか意味がないかで語ることをよしとする風潮は、余裕がないように感じるのであんまり好きではないなあ…と感じています。
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